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ラブストーリーは突然に
2018年3月5日 B・I
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「ラブストーリーは突然に」
この言葉を聞いて多くの人が思い浮かべる事といえば、ドラマで大ヒットした小田和正さんの曲のタイトルだろう。まさかこのタイトルに見合った出来事が自分自身に起ころうとは・・・。
とある平日、仕事を定時で終えた私は喧騒とする都会の中、心落ち着く場所へと向かった。電車で移動中、どういったジャンルの物を買おうか考えていると、目的地までの移動時間はあっという間だった。本屋の入り口は出入りするお客さんで溢れ、一歩店内に足を踏み入れると、雑誌コーナーの前には多くの若い女性が肩と肩とがぶつかりそうな距離で立ち読みをしていた。
新刊コーナー、専門書、マンガ、どの場所を見ても立ち読みをしている人が多くいるので、最近よくニュースで聞くような本のデジタル化による紙媒体の売り上げの減少が信じられないと本屋に来るたびに実感する。
(立ち読みをしているだけで買うとは限らないのだが・・・)
確かにデジタル化することにより、読みたいと思った本をすぐに購入でき、本屋に行く手間が省けるといったメリットはあるが、実際に足を運ぶことで偶然目に留まった1冊がその人の人生に影響を与えるということは少なからずあるような気がする。
「この宝物を見つけた瞬間の喜びや感動を過去に味わった人は、次の新たな出会いを求めこれからも本屋に足を運ぶことだろう。」
デジタル化が急速に進むにつれ、それにどのように向き合っていくかという本屋の立場は、どこかレベストと重なる部分があるような気がするが、これ以上話を広げる自信がないので話を戻す。
休日に読むための推理小説を買おうと思った私は、新刊コーナーの前で何か面白そうなものはないかと目を走らせた。
気になる本を見つけたので表紙を確認しようと手を伸ばしたその時、誰かの手が当たった。
びっくりして横を見ると、そこには私の好きな女優Hさんに似た女性が立っていた。一瞬時が止まったような感覚に陥り、無意識に「すいません」という言葉を発した。その後しばらくの間横並びで本を見ていたが、もはや本の内容に意識はなかった。
すると突然、隣の女性が「ここにはよく本を買いに来るんですか」と声をかけてきた。
声をかけられたことに驚いたが、「2、3週間に1回は買いに来ます」と笑顔で答えた。
「私はあまり推理小説を読まないんですけど、魅力って何ですか?」
「男性はどこか刑事や探偵に憧れているところがあって、推理小説を読んでいると疑似体験をしているような感覚になるところかな」
「へぇー、何か面白そうですね。よかったら今度お茶でもしながらお勧めの本を教えてくれませんか」
「いいですよ」
世の中たまにはいい事があるものだと高揚感に浸りながらそういった会話を行い、携帯電話をポケットから出したその時、突然遠くの方から音が聞こえ始めた。その音が段々と大きくなるにつれてなぜか視界が暗くなっていく。
不思議な感覚に包まれた数秒後、目を開けるとそこは自宅のベッドだった。夢の中の本屋で聞いた音が目覚まし時計の音だと気付き、疲労感が一気に押し寄せた。夢というのは時に残酷で、まさに天国から地獄に落とされたような感覚だった。
夢の中で出会った女性は現実に存在しないが、本屋は存在するのでそこに定期的に本を買いに行くことに変わりはない。
本屋に足を運ぶことで自分の人生にとって宝物となる1冊に出会えるかもしれないという気持ちは変わっていないが、あの夢を見て以降、違う意味での宝物に出会えるかもしれないという考えが頭の片隅をよぎるようになった。
しかし、そんなドラマみたいなことが起きるはずもなく、特別な感情を忘れかけていたその時、奇跡が起こった。
いつものように面白そうな本はないかと表紙を確認するために手を伸ばしたところ、誰かの手が当たった。その瞬間、夢で見た光景が走馬灯のように甦ってきた。実際に横を振り向くまで一瞬のことだったが、現実に起こったことだと認識するのに少し時間がかかった。
「どんな容姿の女性だろう」
「一言めに何と声をかけよう」
期待に胸を膨らませ横を見るとそこに立っていたのは・・・
ぽっちゃりした体形の中年男性だった。
膨らみすぎた期待と現実とのギャップに高低差がありすぎて、何も言葉が出なかった。
現実は厳しいものだと改めて感じた。
それ以降、なぜかその男性とは本屋でよく会うようになり、変に意識するようになった。この男性を見かけるたびに、なぜあの時手が当たったのが女性ではなかったのか、そしてこの人が自分にとっての運命の人にならないようにとただただ願うばかりだ。
この物語には一部フィクションが含まれています。
何から伝えればいいのか、わからないまま時は流れたんですね?
おいおい、マジか?ウソやろ?そんな夢みたいなことあるん?て思ったら夢だったでござる。
そんなに都合よくいかないよね。でも「事実は小説より奇なり」といいます。もっと運命的で奇跡的な出会いや別れだって沢山あると思います。この世の全ての出来事は偶然が重なって起きてるんですよ。私が幼少の頃、ソフトクリームをまるごと落としてなければ、今ヤックンのメガネがもうワンランク上だったかもしれない。バタフライエフェクト。ちょっと例示がおかしいかもしれんが、全ては偶然の産物だと言いたいです。
ひとつだけ真面目に助言。フィクションで行くなら、そのまま突き抜けてしまったほうがいい。中途半端に現実を混ぜるとフィクションというより嘘日記になっちゃうで。創作でいったほうが書きやすいでしょうし。えらそうに上から目線で助言しましたが、次回もB・I氏の野心的な作品を楽しみにしてますよ!
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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コメント
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「ラブストーリーは突然に」といえば、
「OH!YEAH」のカップリング曲じゃないですか。
夢の中で出会った女性はホントに現実では存在しないんでしょうかね?
いつか、朝に目が覚めた時、
その中年男性と身体が入れ替わっていて
どこかでお名前を伺えるかもしれませんね。
「女優Hさん」と書かれて
誰をイメージするかで世代が分かりますね。
私はハセキョーでした。
私はヒロスエさん。