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在宅ワーク ✕ 財蓄ワーク
2020年5月1日 B.I
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いつもと変わらない平日の朝。
ある時間、父や母と洗面所の取り合いになるのがお決まりだが、その日は違った。
仕事に行くための準備で階段を上り下りするあの音も鳴りを潜めている。
いつもなら家を出ている時間だが、普段は見ることの出来ない情報番組を家族で見ていた。
一見休日のように勘違いしてしまいそうになるが、カレンダーの日付を見て今日が平日だと自分に言い聞かせた。
はじめての在宅勤務。
いつもと同じ時間に起きたが、通勤時間がない分、朝の時間を持て余していた。
朝早く起きて勉強をする強者が世の中にはいるようだが、働き方改革の一環として生まれた隙間時間を使うことは集中力を高める点でも一理あるような気がする。
でも、夜型の私なんかは朝遅くまで寝れるのだから、その分夜更かしして勉強しようとも思ってしまう。
その結果、眠気に負けることが大半で、一息つこうと横になるといつの間にか朝を向かえていることも珍しくない。
幾度となく同じ失敗を繰り返したが、改善の気配がない。
睡眠時間はしっかり確保しろ、という体からのメッセージだろう。
「会社行ってきまーす。」
そう言いながら父がリビングを出た。
階段を上がる音が聞こえる。
出勤時間たったの10秒。
2階の一室で一足先に在宅勤務をスタートしていた。
遅れること30分。
私も在宅勤務をスタートするため自分の部屋に向かった。
部屋に向かう途中はっきりとは聞き取れないが、父が誰かと話す声が聞こえた。
席に着き、作業しやすいようにパソコンの位置を微調整していたが、仮にテレビ電話をすると背後にある旭山動物園で買ったトラとペンギンのぬいぐるみが映ってしまうことに気づき、少し恥ずかしくなった。
時間になったのでリモートデスクトップを繋ぎ、作業を始めた。
しばらくすると、沈黙の時が流れていることが気になった。
聞こえる音といえば、パソコンが動いている音と道路を走る車の音ぐらいだ。
静かな方が集中できると単純に思っていたが、あまりに静かすぎると自分にとっては逆効果なのかもしれない。
仕事自体は若干の不便さを感じながらもなんとか出来ていた。
1件処理し終えるごとに自然とため息が出る。
普段オフィスで仕事をしているとき以上に1件1件を積み重ねている印象だ。
ふと上を見上げると、大量の本に見下ろされていた。
小説、自己啓発本、資格参考書、趣味の本が本棚にぎっしりと並べられている。
本に使った金額もバカにならないな、そう思うのと同時に本を読むのが好きになったきっかけって何だったかな、そう思った。
大学までの片道1時間、暇つぶしに本を読み始めたのが全ての始まりだった。
ここ数年でデジタル化が急速に発展し、様々な情報を動画で知ることが当たり前になったが、文章は私たちの想像力を掻き立ててくれる。
小説がドラマ化、映画化した場合、文章を通じて自分が考えた世界と映像化された世界とでは相違点が多々あることがある。
文章をどう捉えて頭の中で情報を具現化するかは読む人によって様々だが、映像は目の前の情報をシンプルに受け取ることができる。
どちらも当然良いところがあり、本が好きな私でも疲れているときはさすがに本を読むのが億劫になることがある。
そう考えると、平日の夜遅くに勉強するという先ほどの話はいかがなものかと思ってしまうが、自分自身を正当化するためにもその点は考えないでおこう。
お昼休憩の時間になった。
リビングに行くと、一足先に休憩に入っていた父と母がご飯を食べていた。
またしても休日の光景だった。
「どう、仕事は順調?」
さぞ日常であるかのような雰囲気の父が話しかけてきた。
「なんとか出来てるから大丈夫。」
「作業しにくいんだったらモニター買ったら?前から欲しいって言ってたじゃん。」
「そうなんだよね。専業投資家の人が複数のモニターを見ながら取引をするのに憧れがあるっていうただそれだけの理由だったんだけど、ちゃんとした理由が出来たからね。少し考えるわ。」
「この前買ってあげたモニター重宝してるらしいよ。」
東京で働く弟も一足先に在宅勤務を始めていた。
始めた翌日にLINEでモニターが至急欲しいという連絡があったらしい。
必要なものなので買ってあげるという話になったが、弟はモノに対するこだわりが強く、モニターの大きさや高さなどいくつかの注文があった。
機能面は譲れない弟と出費を少しでも抑えたい父との間で丸二日にわたるLINEでの攻防が行われたのだった。
結果的に2万円弱のモノに落ち着いたが、父はあらゆるモニターを調べすぎて買うんだったら良いのがあるからとなぜか鼻高々だった。
家でくつろいでいると同じ1時間でも過ぎるのが早く感じる。
部屋に戻り、仕事を始める前に軽く気持ちを入れ直した。
在宅勤務は自分自身との戦いだとつくづく感じる。
好きな時にちょっとしたリフレッシュが出来るのがメリットの一つだが、ある程度のところで歯止めをかけないといけないし、常にそういった誘惑と隣り合わせだということを痛感する。
集中力を切らさないよう心掛け、無心で目の前のパソコンに向き合うと、時間は刻々と過ぎていった。
その結果、件数をこなせばこなすほど自然と在宅用の手順が身についてくる感覚はあった。
「ただいまー」
帰宅時間わずか10秒。
今日の夜は長い。
もしプロ野球の試合があれば、試合開始早々から観ることができたのに。
テレビをつければ、新型コロナのニュースかバラエティの再放送だ。
友人は休日どのようにして過ごしているのだろう。
聞いてみると暇つぶしにSkypeで連絡を取り合っているということだったので、とある休日に参加することにした。
「もしもーし、聞こえる?」
「聞こえるよ。」
手を振ると、3人の友人が手を振ってくれた。
4人でのビデオ通話だが、画面越しに見る限りみんな元気そうだ。
お互いの近況報告から始まり、何気ない会話を続けていたところ、友人の一人が休日暇すぎて絵の練習をしていた。
それを聞いた別の友人が10秒チャレンジを持ち掛けた。
与えられた動物のお題を10秒で書いて日頃の練習の成果をみせてもらおうというものだった。
最初のお題は「ゴリラ」
「10、9、8・・・0」
絵を描き終えた友人がにんまりしていた。
「練習の成果がバッチリ出たわ。」
不自然なくらいに自分を持ち上げているのが、見え見えだった。
その瞬間、笑かしにかかろうとしているのを私だけでなく、他の友人も感じたことだろう。
「ゴリラといえば筋肉ムキムキで威圧感あるのが特徴だよね。」
友人がフリを入れた。
「見てもらえれば一目瞭然だから、出すよ。」
絶対笑うものか、心を無にしてその絵を見た。
威圧感の欠片もない大きくパッチリとした目、
顔と胴体の間にある謎の境目、
細い手足に不自然についたコブ、
想像をはるかに超えてきたが、表情をなんとか押し殺した。
友人も無表情を貫いていた。
「あれ・・・どうしたの黙り込んで。」
予期せぬ展開だったのだろう、困惑の表情だ。
「あれ、見えてる?」
とんでもない絵をこれでもかとカメラに接近させ、そのまま静止させている。
アップはやめてくれ。
じわじわと面白さが込み上げてくる。
「やってくれたな。」
絵を描いた友人が言った。
「10秒じゃ時間が短すぎるわ。30秒ちょうだい。」
「30秒あればバシッと書いてくれるのね。」
「もちろん。お題ちょうだい。」
「そうしたら、パンダで。」
「はいはい、ありがとうございます。パンダと言えば毎朝ZIPで星星のベラベラENGLISHを見てるからイメージが湧き出てるわ。」
「そしたら30秒計るよ。よーいスタート。」
友人が絵を描くため映像から消えた。
すると、友人の一人が画面を指差し、バツ印を指で作っている。
そして、Skypeの通信が途絶えた。
もう一人の友人と私もそれにならった。
しばらくして、LINEにメッセージが届いた。
「やってくれたな!」
もう一度Skypeを繋ぎ直した時、目の前には二足歩行で直立したパンダが現れた。
「なんか怖いって。」
「そう?割と上手く書けたと思うけど。」
「これからも違う意味で期待してるわ。」
家での自粛が続く中、久しぶりにホッとした瞬間だった。
新型コロナウイルスの感染拡大は全世界に甚大な被害を及ぼし、その影響は未だ計り知れない。
経済的な指標として比較されるのがお金の動きが止まってしまった2008年のリーマンショックだが、人とモノの動きが止まってしまった今回はそれ以上の経済損失が予想されている。
今まさに一時代の転換点に差し掛かっており、個人や企業が今後どうあるべきなのかについて深く考えさせられる期間となることは間違いない。
長期間の自粛が続く子供たちはこの事態をどう考えているのだろう。
男の子が将来なりたい職業ランキングで常に上位のスポーツ選手、就職氷河期には公務員が急浮上、最近ではYouTuberと、そもそも働くことの意義が変わってきている気がする。
新型コロナが全世界で収束したとき、世の中はどのように変わっていくのか。
未来を予測するといえば、そう投資家の出番だ。
日本にしろ、アメリカにしろ株価は徐々にだが回復傾向にある。
これには様々な要因が複雑に絡み合っているが、世界における感染拡大がピークを過ぎたのではないかという考えが大きく作用している。
その一方、企業の業績は連日下方修正の発表が続いていて、その影響がどれほどのものか、具体的な経済指標として発表されるのはまだまだこれからだ。
「今だから出来ることは何か?」
寝る前に目をつぶってじっくり考えてみるのもいいかもしれない。
気づけば朝になっている、ということがないようにだけ気を付けよう。
部屋にぬいぐるみがあるとか、めっちゃかわええやん(^w^)
そこは、あえて映り込ませてほしいわ~( ´艸`)
B.Iんとこは、もうみんな在宅勤務になってるんやな。最先端一家やん(*゚o゚*)
在宅やと“通勤のしんどさ”がなくなるけど、帰り道に“寄り道してオヤツ買ったり”出来ひんやんな~タコはそれがちょっと残念(;゚(OO)゚)
その代わり!仕事が終わったらすぐに家に帰れるから晩ごはんの時間をゆっくりとれるってところはポイントやなヽ(*'(OO)’)ノほら、モリモリ食べて免疫力アップせなアカンし^^;
平日はテレワーク・週末はオンラインで、家におっても人と会える時代やねんな~(´-`)
B.Iめっちゃ活用してるやん(*^▽゚)bタコも画伯のゴリラ見たかったな(*’艸3`)今度は撮っといて~
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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