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エピソード2「研修の始まり」
2022年 9月 1日 B・I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
早川俊太・・・・教育格差という社会問題をシステムの力で
将来変えようとする青年
足立健吾・・・・システムに関しての知識は周りからも
一目置かれているプロジェクトメンバーの一人
榊原雄太郎・・・教育のデジタル化を専門に研究している大学教授
エピソード2「研修の始まり」
大学の夏休みを利用して俊太は
研修プログラムに参加することを決めた。
健吾も一緒に参加しないかと誘ったが、
研修の内容に全く興味がないらしく
結局一人で参加することにした。
どの研修に申し込むか色々と悩んだため
期限ぎりぎりでの申し込みとなったが、
申請を無事終えた後の最初の打ち合わせで
榊原教授にそのことを伝えた。
「その研修はすごい良かったよ。
内容のことを話すと
当日のワクワク感が無くなるから言わないけど、
普段大人が真っすぐ夢を語り合うことってないから
新しい一歩を踏み出す前の
研修としてはピッタリじゃないかな。」
「この研修に参加する人は将来起業を
目指している人っていう条件があるってことは
教授も当時は起業を考えていたんですか?」
「今考えれば若気の至りだったけど、
自分にもチャンスがあるんじゃないかと
思っていた時期もあったよ。
この話をすれば少し長くなるんだけど、
元々教育コンサルタントの仕事をしていて
学校に足を運ぶことが多かったんだ。
学校の先生って世間の人が思っている以上に
やらないといけないことが山積みで、
新しいことを始めるのは結構重労働なんだよ。
大学でコンピューターについて学んでいたこともあって
システム関係の相談を中心に受け持っていたけど、
これまでの根強い紙文化と
専門的な知識に付いて行けない先生がいたりと、
ハードルが高いことを常々実感していたよ。
学校とシステムを得意とする
ベンチャー企業を繋げる仕事をしていると、
若い経営者の熱量に心動かされることが多くて、
同じような志を持った人たちから刺激を受けることで
自分も前向きにチャレンジできるのではと
考えて研修に参加したんだ。
現実はそう甘くなくて結局あきらめてしまったんだけどね。
早川君こそ
この研修に参加するってことは将来起業したいってこと?」
「高校生の時からいつかは起業したいとずっと思ってました。
将来こんな社会になってほしいという理想はあるんですけど、
具体的にどういうステップを踏んだらいいのか分からないので、
何か一つでもこの研修を通じて得られればいいなと思ってます。」
「研修が終わって
早川君がどういった志を持つのか楽しみにしてるよ。」
研修当日、
俊太は集合場所に指定された
駅のバスロータリーへ向かった。
大きなバスが一台とまっているのが目に入り、
その横には
自分と同じくらいの荷物を抱えた
人たちが出発待ちをしていた。
パッと見た感じ、
約20人はいるだろうか。
年齢は老若男女様々だが、
自分よりも年下だと思う人はいなかった。
集合時間となり、
主催担当者の案内のもと
一人ずつバスに乗り込み始めた。
順番待ちをしているとき、
ふと駅の方向を見ると
大きな荷物を抱えた
女性がこちらに向かって走る姿が見えた。
「早川俊太さん」
募集期限ぎりぎりに申し込んだこともあってか、
名前を呼ばれたのは一番最後だった。
「ちょっと待って下さい、
あの人もしかしたら参加者かもしれないので。」
その女性が目の前に来たときには
すべての力を出し切った表情で膝に手を当てていた。
「研修行きのバスですか?」
「そうです、お名前教えてもらえますか。」
「北野恵です。」
その後すぐにバスは出発した。
早川は外の景色を見ながら、
頭の中で先ほどの出発前の
わずか数分の出来事を思い返していた。
北野さんは整った顔立ちと香水の香りが
大人びた雰囲気を醸し出していたが、
もしかしたら年齢は自分と近いのかもしれない。
年齢が近い人の頑張りは自分自身の励みにもなるので、
研修中にじっくりと
話の出来る時間があればいいなと思った。
今このバスに乗っている人は
全員いつかは
起業したいという大きなチャレンジ精神を持っている。
始めて会った人たちと
2泊3日一緒に過ごす緊張感と
自分の将来について本気で向き合うことが出来る
ワクワク感が入り混じっていた。
この日は朝早かったこともあり、
いつのまにかバスの中で寝ていた。
主催担当者のアナウンスで目が覚めると、
バスは緑に囲まれたコテージへと到着した。
立派な木造のコテージが5棟建ち並んでいる。
「それではここから情報を遮断するので、
事前にお伝えしていた通り、
持っている通信機器を全て提出してから
各自指定されたA~Dの建物に分かれて入って下さい。」
「携帯をお預かりします。
早川さんはBの建物へお願いします。」
建物の中は家具や家電も揃っていて、
普通の生活空間が広がっていた。
Bのコテージには自分も含めて5人が案内された。
男性3人、女性2人で北野さんはいなかった。
お互いどうしていいのか分からず
気まずい雰囲気が流れている中で、
女性の一人が机に置かれたスケジュール表を発見した。
現在の時刻は10時30分。
11時までは
「コテージで待機。
お互いの自己紹介を済ませておくこと。
尚、自己紹介は自己PRを交えて人柄が伝わるように行うこと」
と書かれている。
指示された通り5人は順番に自己紹介を行った。
男性2人は商社勤務、法律事務所勤務、
女性2人は保険会社勤務、美容会社勤務で、
年齢は全員30代だった。
大学生で社会人経験のない私にとってはとても気を遣う状況で、
普段であればついつい携帯を見てしまうところだが、
それも出来ないので
コミュニケーションを取らざる負えない空間になっていた。
そんな状況を見かねてか、
商社勤務の男性が話の中心となって場を繋いでくれた。
約30分雑談をしただけだったが、
話に積極的に参加する人、
そうでない人、
人と話をすることに慣れている人、
そうでない人など、
人となりって意外と短時間で分かるものなんだと気づいた。
すると突然部屋に飾られていた時計が音を奏でた。
時刻は11時を指していた。
「このあとはどうしたらいいんでしょう?」
商社勤務の男性が全員に問いかけるように言った。
「スケジュール表に11時になったらテレビをつけて
以下の通り設定を行うことと書いてます。」
保険会社勤務の女性がそう言いながらテレビへと向かった。
全員が見守る中、
設定を進めるとカメラが繋がり、
リモート会議などで使用する画面に切り替わった。
画面は全部で5分割されており、
4つのコテージの様子と男性が一人映し出されていた。
「皆さんお揃いのようですね。
私の声が聞こえてますでしょうか?
もし声が聞こえていれば手を挙げて教えてください。」
各コテージの人が手を上げる様子が見て取れた。
「大丈夫そうですね。
まず始めに皆様今回は
私共株式会社フューチャーデザインの研修に
ご参加いただきありがとうございます。
この研修の進行を務めさせて頂く
スタートアップ支援事業部の皆川と申します。
よろしくお願いいたします。
来て早々各コテージに案内されて驚かれた方も多いと思いますが、
私たちの研修は世間一般で行われているような座学中心ではなく、
一つの課題に対してチームで解決していくことの大切さを
皆さん自身に経験して頂くことで、
起業するときに必要なスキルを身につけることを目的としています。
この時点で質問のある方はいますか?」
「要するに今一緒にいるメンバーは
一つのチームだと思っていいんですか?」
他のコテージの男性が話しかけた。
「そういうことです。
今日一日このメンバーで課題を解決してもらうので、
お互いのことをよく知っておいてください。
ちなみに言い忘れてましたが、
各コテージにある飲み物、
食べ物は飲食自由なのでお好きなだけどうぞ。
それでは最初の課題を皆さんにお伝えしますので、
本棚にある課題①のファイルを皆さんでご覧になって下さい。」
早川はファイルを手に取り、テーブルの上に広げて置いた。
「これから法人として会社を立ち上げて、
事業を広く展開するために銀行から融資を
受けようとしているAさんがいます。
大学、社会人での経歴をまとめた用紙をよく読んで、
融資を受けるための事業計画書をチームで完成させて下さい。
と言っても何も無しに書くのは難しいので、
書き方の例を入れているので参考にしてください。
ポイントは会社の成長ビジョンをしっかりと描くこと、
そして、
そのためにどこにお金を投資していくのかを明確にすること。
制限時間は1時間とします。
1時間後にチームの中の代表者一人がAさんの役となり、
実際にプレゼンをしてもらうので、
誰がプレゼンをするのかも決めておいてください。
質問のある方はいますか?」
突然の難題に呆気にとられたのか、誰の返事もなかった。
「それでは一時間後同じ設定でカメラを繋いでください。よーいスタート。」
リモートの接続が強制終了した。
こうして思いもよらない2泊3日の研修がスタートした。
レベストジャー・レッド
B・Iさん
レッドもレベストジャーの
訓練で3泊4日の研修に行ったのを
思い出しました(*´艸`*)
結構をキツイ3泊4日だったんですが
本当にキツかった!
一日中、登山だったり
今で言う謎解きクイズの意地悪バージョン
などなど体力と知力の限界を
試された研修でした(*´艸`*)
今思うと結構を理にかなった内容だったと
思ったりしていますが・・・・。
本当に辛かった(*´艸`*)(*´∀`*)
業種によって研修内容って違うんでしょうね
経験してみたいな~~と
思っているレッドでした!!
編集戦隊レベストジャー!! !!!
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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コメント
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研修施設と言いながら
点けたテレビから指示を受けて始まるゲームとか
不穏なやつしか思い当たらないですねw
誰が生き残るのか。。。(そうではない
でも、
ある意味
この中の何人が起業して生き残れるのかという
そういうゲーム。。。(違う怖いことを言っていく
学生時代は授業等で議論をするにも初対面という
関係性ではないことがほとんどで、
たまに初対面同士でいきなり議論をさせられたときは
緊張でテンションがおかしくなったのを思い出しました…。
今となるとこういった経験を少しでも積んでいた方が
よかったなと思うことがあります!