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人生の分岐点
2020年10月1日 B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「人生は選択の連続である」
しばしばこの言葉を耳にするが、どうやらシェイクスピアの名言らしい。
日常生活の中においてほとんどが些細な選択だが、その全てには結果があり、その連続で人生が作られているということを表している。
では、自分の人生において一番の分岐点となった選択は何だろう?
それを考えるにあたって、長年自分の中で引っかかっていることがあった。
就職関連の新聞記事を見ると、理系出身の人は文系出身の人に比べて内定率が高く、平均年収も高いというデータが出ていた。
これからの社会を考えたときに論理的に物事を捉え、高い専門性を身につけた人材はどの業種においても必要となるだろう。
あのとき理系という選択肢を選んでいたら人生は間違いなく180度変わっていただろう。
目を閉じれば、当時の記憶が自然と蘇ってきた。
高校一年生の冬、クラスの中で数人の生徒が個人面談を受けることとなった。
この時期の個人面談、名前を呼ばれた人からしてあの件に間違いなかった。
終礼後、名前を呼ばれた私と友人のショウゴは目を合わせるなりハイタッチをした。
「残ったね。」
「突然の発表でヒヤヒヤしたわ。」
私たちの高校では2年生になるとき、理系クラスと文系クラスに分かれることになっており、理系クラスに入るためには1年生の全国模試で数学と理科の偏差値が基準を超える必要があった。
私もショウゴも正直ギリギリかなという話をしていたので、理系クラスに入れる権利を手にしたことは嬉しかった。
数日後、個人面談が行われた。
「何の件かはもう分かってると思うけど、まずはおめでとう。」
「ありがとうございます。」
「これが今年受けてもらった全国模試の点数一覧表だけど、点数を見て率直な感想としてはどう?」
「国語に関してはこれだけ点数が取れているのは自分でも不思議ですけど、全体的には納得してないです。」
「確かに国語の点数をこれだけ安定して取れている人はクラスで数人だから、そこは自信を持ってもらうとして、数学と理科の点数についても今年の基準を上回っているから来年どっちのクラスを希望するかを1カ月後の面談でまた教えてもらっていいかな?」
「分かりました。」
「ちなみに今はどっちに行きたいっていう希望はある?」
「せっかく今回理数クラスに行ける権利があるので、そこに乗ってみようかと思う反面、ついていけるのかという不安はあります。」
「その不安はみんなが考えることだとは思うけど、いざ始まれば努力次第でいくらでもカバーできると思うよ。」
それを聞いていた私は、点数を見て判断している先生と自分自身の中の感覚とでズレがあると思った。
数学も理科も点数以上に手ごたえがなく、どう解いたらいいのか見当もつかない問題も数多くあった。
自分はどちらの道に進むべきか・・・
来る日も来る日もそのことで頭が一杯だった。
理系クラスに入れば、クラスの中では後ろからのスタートだろう。
受験は大丈夫だろうか、文系科目は分からないところが出てきたときに後からいくらでも巻き返しがききそうだが、理系科目は取り返しがつかないような気がする。
そこまでのリスクを背負って理系クラスにいくことが正しい選択なのか?
自分一人で考えても答えは出そうになかった。
そういえばあいつはもう決まったのかな。
「クラスどっちに行くか決めた?」
ショウゴと食堂でご飯を食べていた時に聞いてみた。
「決めたよ。理系クラス。」
「この前まであんなに悩んでたのに決めたんだ。決め手は?」
「俺って得意科目があるわけでもないし、ましてや将来こんな仕事をしたいっていうのも正直ないから、だったらせっかく掴んだチャンスに乗ろうかなって。」
「ついていけないかもっていう不安はない?」
「もちろんあるけど、勉強だから努力次第で何とかなるんじゃない。軽く聞こえるかもしれないけど、俺なりにしっかり考えたうえでの結論だから。」
「俺って考えすぎなのかな。」
「まだ決まってないんだ?」
「うん。」
「じゃあ、一つ良いこと教えてあげよっか?」
「何?」
「2組の青山さん、理系クラスに行くらしいよ。」
青山さんは他のクラスの男子の中でも話題に上がるほど容姿端麗で、さらには頭のいい才色兼備の持ち主だった。
理系クラスは一クラスしかないので必然的に同じクラスになるという構図だが、青山さんが理系クラスに行くなら俺もいこうかな、そんな人がいても不思議ではなかった。
今、目の前で話している人がそうであるように・・・
「その情報どこから仕入れたん?」
「偵察部隊に動いてもらっていてそこからの情報。」
「怖っ、めっちゃマークしてるやん。」
「違う、違う。ちょっと言い過ぎた。2組に友達がいて、クラス内で聞こえてきたことを教えてもらってるだけだから。」
「でも、何かお前らしいな、良い意味で。」
「めっちゃいじってるよね?」
「俺が言いたいのは、ショウゴはテストの点もそうだけど、ここぞというときにはしっかり結果を残してるし、そういうことも含めて物事をポジティブに考えれるのは羨ましいなあって。」
「結局のところ受験で点数が取れるかどうか、将来どんな職業に就きたいかを自問自答して、出した結論に対して後悔せず前に進むしかないでしょ。」
「そうだよね。何か決心がついた気がするわ、ありがとう。」
そして、個人面談の日を迎えた。
「そうしたらさっそくだけど、来年の進路は決まった?」
「決まりました。この1カ月すごく悩んだんですけど、文系クラスに行くことに決めました。」
「簡単に理由を教えてもらえる?」
「将来こんな仕事がしたいというものが正直今はないんですけど、社会で起きている色んなことを知って、それについて調べて見たり、あとは色んな本を読むのが自分にとっての有意義な時間になっているので、受験というよりも将来のことを考えたときに少しでも興味の持てる方、役立つ方に進んだ方が後悔しないと思って文系クラスに行くことにしました。」
「分かった。話を聞いていて今回の決断はすごく悩んだと思うけど、自分自身を見つめ直すいいきっかけになったと思うから、勉強は勉強で頑張って、それ以外の時間をどう使うかというのも大事だから、色んな事にアンテナを張って頑張ってくれることを期待してます。」
「分かりました。ありがとうございます。」
翌日、席に着くなりショウゴに話しかけられた。
「面談は上手くいった?」
「バッチリ!」
実は先日、考えた末に文系クラスに行くことをショウゴに伝えていた。
一番の理由は数学への苦手意識が払拭できないことだった。
「そのことを面談で言うの?」
「本音を言うならそうだけど、確かに逃げ腰に聞こえるよね。」
「もっと前向きな理由はないの?」
「あるにはあるけど・・・」
それが、昨日の面談で話したことだった。
「その理由を言った方が良いと思うけどな。本音と建前じゃないけど、お互いが納得して次に進むためのベストアンサーじゃない?」
「確かにウソを言ってるわけじゃないしね。」
そんなやりとりをしていたのだった。
その数日後、衝撃的なニュースが飛び込んできた。
2組の青山さんが最終的に文系クラスに行くことを決めたそうだ。
理由は分からない。
ショウゴと理系クラスに進む男子はひどく落ち込んだことだろう。
そして、僕はこの時まるで考えてもいなかった。
2年生で青山さんと同じクラスになろうとは・・・

たこはん
シェイクスピアはいっぱい名言を残してるからな~
確かに自分では気づかんうちに選択してることも多いと思うわ(´-`)
例えば、見ての通りタコはたこ焼きが大好きやねんけど、猫舌やねん。
”できたて熱々のたこ焼きを食べるか冷まして食べるか”の選択の結果が、上あごの火傷やな(゚∀゚)
でも冷めてしもたたこ焼きなんか美味しくないもん!タコは上あごの火傷に後悔はない(`・ω・´)
それにしても、流石B.Iやな( ゚ロ゚ノノ゙
タコは数学も理科も大嫌いやったわ(;^ω^)何か知らん記号がいっぱい出てくるねんもん(+д+)
大きい選択の結果、文系に行ったけど良い選択やったと思うで(b≧∀)
だってその選択の結果、ここにB.I先生が毎月執筆することになってるんやし(o^v^o)
それにもし、理系に行ってたら実験失敗して御茶ノ水博士みたいなヘアースタイルになってしまもてたかも知らんしな(*>ш<*)
投稿者プロフィール

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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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