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風は「敵」かそれとも「味方」か
2020年7月1日 B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「風が見えるようになりたいと思って気象予報士になりました。」
タレントで気象予報士の石原良純さんがある番組でそう言っていた。
本人が本当にそう思っていたのかは定かではないが、「いやいや、何を言ってるんですか」とスタジオは笑いに包まれた。
しかし、それを見ていた私はどこか笑えずにいた。
目に見えないものは世の中に数多く存在するが、その中で
「風」は自分にとって敵か、それとも味方か、
そんなことについて子供ながらに考えていたことをふと思い出した。
きっかけは野球の試合で守備についているときに、普段であれば簡単に取れるフライが風に流され捕れなかったことがあった。
当然のことながら、風に流されたからといってエラーが許されるわけではない。
自分自身の責任をどこかに押し付けたいという考えのもと、たどり着いたのが風が悪いという結論だった。
このときを機に、風は私にとって敵となった。
傘がひっくり返って骨がボロボロになったり、飛行機に乗っているときに機体が上下に揺れたりと、事あるごとに悪さをしてくる。
再生可能エネルギーとして風力発電が注目を集めていたときも、自由気ままにただ暴れまわる風を人間が上手く利用しているだけなんだと、うがった考えをするようになっていた。
太陽光は植物の成長に必要不可欠、水は動植物の生命に関わるのに、風は・・・。
強風吹き荒れるある日。
街中を歩いていると、目の前に帽子が飛んできた。
とっさに体が反応し、帽子を手に取ると、「すいません」と言いながら綺麗な女性がこちらに向かってきていた。
「ありがとうございます。」
「いえいえ・・・」
久しぶりに風が味方をしてくれた気がした。
この出来事がきっかけとなって・・・かは分からないが、少し風向きが変わってきた。
学校での中間テストが迫ってきていて周囲が勉強を進める中、直前に詰め込めば大丈夫だろうと思い、何もしないでいた。
中間テスト3日前にそろそろやらないとまずいと重い腰を上げたが、いざ勉強し始めると全教科を網羅するだけの時間はないことにそのとき気づいた。
こうなれば出来るだけのことをしようと教科によってはあきらめ半分のものもあったが、実は一筋の光が残っていた。
数日前に台風が発生していて、テストの日に直撃する予報だった。
暴風警報が出れば学校が休みになるという規則だったので、この時ばかりは風の力で休校になるようこれまで敵だった相手に心からお願いをした。
その願いが届いたのか、当日は朝から大荒れ、テストは翌日へ延期となった。
1日勉強する時間ができたこともあり、当初はあきらめていた教科もまずまずの点数を取ることが出来た。
このところ風は味方になっているのではないか?
心を開き始めている自分がいた。
修学旅行で北海道に行った時のこと。
宿泊するホテルでは夜、雲のない空に満天の星空が広がるのが一つの売りだった。
時間になり空を見上げてみると、残念なことに薄い雲がかかっていて星空を眺めることはできないが、よく見ると雲と雲の間からいくつかの星が見え隠れしていた。
ホテルの人によると、もう少し風が吹いて雲が移動すると、もっと輝いて見えるかもしれないということだった。
風か・・・
木々を見ると葉っぱがわずかに揺れるくらいの風は吹いている。
「俺、晴れ男だけどさすがに風は操れないな。」
友達がぼそりといった。
「我こそは風男だという人?」
それを聞いた途端、体がぴくっと反応したが、何の根拠もないのに名乗り出るなんて恥をかくだけだ。
「はい!」
振り向くと、クラスでムードメーカーのタツヤが手を挙げていた。
「お、いた風男!」
「何にでも絡んでくるな。」
目立ちたがり屋の冗談だろう、とその場にいたみんなが思った。
「そこまで言うなら、風を吹かせてよ。」
「あれ、みんな誤解してるけど風男は風を吹かせることはできないけど、風を予測することはできるから。」
「そう言って、今日は風が吹かないというオチ?」
タツヤがにっこり笑った。
「今日の深夜12時に部屋から窓の外を見てみて。星空が広がってるから。」
「12時って寝てる時間だし。」
「誰も確認できないから言ったもん勝ちかよ。」
「上手いこと言うなあ。」
その場でもう一度空を見上げた。
雲が動いている様子はなかった。
今日は星空は見えない、風がそう語りかけた気がした。
夜中にふと目が覚めた。
時間は深夜1時過ぎ。
体は疲れているはずだったが、旅行独特の高揚感がどこか抜けずにいた。
空はどうなってるかな?
さっき見た光景と変わっていないだろうが、一応見ておこうと眠い目をこすりながら窓から外を見ると眠気が飛んだ。
キラキラと輝く星があちらこちらに広がっていた。
これが満天の星空なのかは正直分からないが、少なくともこれまでの人生で見たことのない光景だった。
左右に揺れる木々の葉っぱが風の強さを感じさせた。
風男やるな。
そう思いながら、しばらく星空を眺めていた。
翌日、眠そうな顔をしているタツヤにその件を伝えてみた。
「だから、言ったじゃん、星空見えるよって。もしかして信用してなかった?」
「もちろん。」
「はっきり言うな。」
「勘で当てるにしてもすごいわ。正直自信なかったでしょ。」
「ちゃんと根拠があるから。」
「風と会話できるとか?」
「やばいやつじゃん。そんな特殊能力ないから!」
「じゃあ根拠って何?」
「気象予報だよ。昨日部屋でテレビを見てたら、お天気コーナーの中でこの辺りは星空が見えるでしょうって言ってたから、それを鵜呑みにしただけ。」
「なんだ。なんか夢がないな。」
「世の中には特殊能力を持っていてテレビで紹介されてる人とかいるけど、あんなの絶対裏があるから。集めた情報を上手く使ってそう見せてるだけだよ。俺が昨日やったみたいに。」
「タツヤのことは昨日誰も信用してなかったと思うけど・・・」
「それは正直俺自身も感じてた。風男って言ったところでメリットがないからもう言うのやめよう。」
実は昨日の夜、部屋から見ていたのは星空だけではなかった。
遠くにそびえ立つ山を見て、ここ最近噴火活動を続けている桜島を思い出した。
火山が噴火すると火山灰が空高く上がり、風に乗るととんでもない距離を移動するらしい。
風は敵か、それとも味方か、
そんなことを考えていたが、結局のところ天気や自然災害の前に人間は無力なんだと少し心が苦しくなった。
スーパーコンピューターなどの技術の進歩により、天気予報の精度は年々上がり、これまで予知することが難しかった突然のゲリラ豪雨などもピンポイントで分かるようになってきているそうだ。
最近個人的に嬉しいニュースが入ってきた。
スーパーコンピューターの計算速度を競う最新の世界ランキングで、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」が首位を獲得したそうだ。
世界一は日本として8年半ぶりで、米国と中国の2強体制に風穴を開けた格好だ。
より精密なデータがあれば、それを使わない手はない。
あの気象予報士はよく当たるから信用できる、という時代は近いうちに終わるのではないか。
与えられる情報が同じ中で、気象予報士としてどうあるべきか、私たちの知らないところで実は悩んでいるかもしれない。
コンピューターの力が人智を凌駕している今だからこそ、風が見える気象予報士がいれば、その個性はより一層際立つのではないか。

たこはん
いや、風も必要なこともあるで(・∀・)
ほら、タンポポとかは風に綿毛を飛ばしてもろてるやん!?
あと風があったら洗濯物も乾きやすいし、今の時期とかは風が吹いてくれたほうが涼しくていいしな(^ω^)けど、それはやっぱり“程よい風”ってのが前提やな(・ω・`)
風がゴーゴー吹いてたら音だけでなんか怖いし危ない感じがするもんな
ゴーゴーの風の時ってなんか頼んでないのに雨までセットでついてくるからタコも何回か傘が“ブリーン!”ってなったことあるわ(×_×)もうそうなったら傘なんてただの棒やからな(-ω-)ずぶ濡れや
タツヤも天気予報は信用するタイプなんや~(・0・)
天気予報が的中して良かったなぁ(*^^*)満点の星空は都会じゃなかなか見られへんもんな(*´∇`*)
ちなみにタコも天気予報はめっちゃ信頼してるねんけど、残念ながら割と裏切られがちやねん(T-T)
的中率100%になる日がはよ来てほしいわ~(*>人<)
投稿者プロフィール

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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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