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見える銀行
2020年9月1日 B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
とある休日の朝、久しぶりにゴルフ練習場に行くことにした。
連日猛暑が続き、さぞかし練習している人も少ないだろうと思ったが、多くの人が汗をかきながらクラブを振っていた。
私も最近は運動する機会が減った影響か、練習を始めて早々に汗が出始めたが、体を動かすことで気持ちがリフレッシュできたような気がした。
家に帰るとシャワーで汗を流し、そのまま自分の部屋へ向かった。
扇風機をつけて勉強机に座り、今から何をしようかと考えた。
時間があればやりたいことは山ほどある。
机の上には定期的に買っている自己啓発本が並び、モチベーションが上がらないときの助けになっている。
引き出しにはいつか使うだろうと買っていた新品の文房具や、ここ数年分の手帳、そして一番奥にはいつ使っていたかも忘れてしまった色鉛筆が残っている。
改めて物を捨てられない性格だと思わずにいられないが、考え方を変えると自分は物持ちが良いんだと思い込ませてそっと引き出しを元に戻した。
そう考えるとこの勉強机には新旧色々な思い出が詰まっている。
様々な旧のモノの中でふと目に留まったのが、紙幣を入れているディズニーで買ったクッキーの缶とサッカーボールの形をした小銭入れだった。
クッキーの缶は小学生の時、神奈川県に住んでいたのでその時家族でディズニーに行き買ったもの、小銭入れは2010年の南アフリカワールドカップの時にゆうちょ銀行が記念の品として作ったものだった。
クッキーの缶の方が断然歴史があり、小さいときからもらったお小遣いやお年玉はすぐに大切にしまっていて、欲しいものがあれば中身を確認して大事に握りしめて外出していた。
言うならば、私にとっての「見える銀行」だった。
そんな目の前にある見える銀行と常に向き合っていた私は、銀行にお金を入れたり、引き出したりを繰り返しているうちに子供ながらにお金を引き出すのにどこか抵抗を覚えるようになっていた。
その感覚を覚えてから少しずつ缶の中のお金が増えていった。
缶の中を見る度、こつこつ貯めてきた努力とそれなりの金額の物が買える嬉しさが自分の中で入り混じっていた。
そして、小銭入れの中には今、お金がパンパンに詰まっている。
持ち上げると小銭の重さと共に長年の積み重ねてきた努力が重さとなって加わっているような気がした。
そんな私にとって、一つの分岐点となる出来事が押し寄せてきた。
それはキャッシュレス化の波だ。
見える銀行を使ってお金を管理している私はまぎれもない現金派だ。
外国ではとてつもないスピードでキャッシュレス化が進み、そのあおりを受ける格好で日本もすぐに浸透すると言われていたが、蓋を開けてみるとそこまで浸透しなかった。
様々な金融資産がある中で、個人のタンス預金が増えているというニュースが、日本人の現金に対する考え方を表しているような気がする。
世の中が右を向いたからといって合わせるように右を向くつもりはないが、キャッシュレスが世の中に当たり前のサービスとして浸透し、利用しないと損をするということであれば私自身スタートラインに立つことになるだろう。
キャッシュレス化のニュースをよく目にすることが増えてきた頃、こんな出来事があった。
普段よく利用するコンビニに行ったとき、一緒に来ていた高校生3人がレジ待ちをしていた。
先頭の高校生がPayPayで支払い、立て続けにあとの2人もPayPayで支払っていた。
その光景を後ろから見ていた私は、「スマートに支払ってるな」そう思った。
そして、次は私の番だ。
「378円です。」
財布を開け、小銭をガチャガチャ鳴らしながら中途半端な78円をどう支払おうか考えた。
探せばちょうどありそうだが、その時間が恥ずかしく感じられた。
結局探すのをあきらめ、400円を支払いその場を後にした。
そういったことを繰り返しているうちに、小銭入れに入っているお金はコツコツ貯めているものではなく、上手く小銭を使えていない弊害が出ているのだと気づかされた。
それだけではない。
駅の構内を歩いていると、若いサラリーマンが自動販売機の前でスマホをかざしていた。
百何十円という支払いでさえも現金を使わない光景が脳裏に焼き付き、その自動販売機の横を通るたびについつい気にかけるようになっていた。
そんな日々を過ごしていると、消費税増税のニュースが飛び込んできた。
それに伴う景気対策の一環としてキャッシュレス決済によるポイント還元事業がスタートした。
還元率もそこそこ高く、利用しなきゃ損だと、これまで現金派だった多くの人の心が揺れ動いていた。
そして、私自身もこれを気に始めようかどうか悩んでいた。
そんなある日、いつものコンビニに行くと、高齢のおじいちゃんがレジに並んでいた。
するとおじいちゃんがポケットからスマホを取り出し、
「キャッシュレスとやらを使いたいんじゃが」と言った。
その瞬間、お弁当を何にしようか選んでいた私は、背後から聞こえるその会話が気になって仕方なかった。
周りから見ればお弁当を選んでいるように見えるが、もはや視覚は機能しておらず、聴覚をフル活用していた。
その後、店員と少しやりとりがあったが、どうやら初期設定は事前に済ませていたらしい。
無事キャッシュレスで支払いを済ませ、店を後にした。
その後ろ姿を見て、少し曲がった背中が大きく見えた気がした。
キャッシュレスってそんなに浸透してるのか・・・
どうやら自分自身が思っているより定着するのは早いかもしれない。
そして私はいつものように現金での支払いだ。
小銭を探しているとき、店員はどんな目でこちらを見ているのだろう。
そんなことを気にしだすと、その沈黙の時間が長く感じた。
お釣りを受け取るとき、レジ横においてある募金箱が目に入った。
その瞬間、なぜかそこに募金すれば現金派としての面子を保てるような気がしたので、募金箱に手を伸ばした。
店を出るまでのわずか数歩だったが、根拠のない達成感に溢れた。
この出来事をきっかけにとりあえずいつでもキャッシュレスを使える状態にしようと思った。
コンビニなどの少額の買い物をキャッシュレスにすると現金に触れる機会はかなり減るだろう。
そうやって支払いを見える化して管理していくのが今後当たり前になるかもしれない。
今の若い人の中で「見える銀行」を使ってお金を管理している人はどのくらいいるだろう?
このような小さい頃からの当たり前の習慣が日本人のお金に対する考え方を少しずつ変えていくかもしれない。
これが将来吉と出るか凶と出るかは正直分からない。
そんな将来が待っている中で、現金派としてどうすれば胸を張れるのか色々な面で考えてみた。
これまでの経験や様々なデータからも分かるようにキャッシュレスのほうが一枚も二枚も得かもしれない。
現金派とキャッシュレス派で討論をしたら論破されるのが目に見える。
これは個人的な願望だが、現金派はお金を大切に扱うそんな人達であってほしい。
キャッシュレスの発展が今後の日本経済を支える一つのキーになることは分かっている。
現金派はキャッシュレス派を責めない、キャッシュレス派は現金派を責めない、そんな日本であって欲しい。
タコも500円玉貯金してるで(・∀・)(最近はあんまりしてないけど(。・艸・))
なるべく500円玉を使わんようにしたりするのってちょっと面倒やけど、コツコツ貯めていって貯金箱がどんどん重たくなってくるんは嬉しいよなヽ(^◇^*)/
キャッシュレスは、現金じゃないから気をつけないっぱい使っていってまうって危険があるけど、やっぱり便利やんな~(*^▽^*)
タコも前、からあげ屋さんと洋食屋さんに持ち帰り注文して、ついでにドラッグストアに寄って帰ったんやけど全部スマホだけでいけたもん(*‘∀≦)d
家出る時は、”ホンマにスマホだけで行って大丈夫なんか(*´・∀・)?”ってドキドキしたけどキャッシュレスめっちゃ普及してきてるわ(>▽<)b
現金もキャッシュレスもどっちもいいとこあるから、上手いこと使い分けたいな(*^^*)
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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