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記憶の引き出し
2020年2月3日 B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「今日は何を読もうかな?」
平日の朝、家を出て最寄りの駅に向かう道中にそんなことを考えるようになっていた。
最近、雑誌の読み放題アプリを入れてから電車での移動時間や何かの待ち時間などが少し有意義な時間に変わった気がする。
月額380円で250以上の雑誌が読み放題であり、これまで750円の雑誌を毎月2冊買っていた私にとってそれは衝撃的な出会いだった。
雑誌の種類もビジネス・スポーツ・ファッション・趣味・週刊誌など多岐にわたっていて、一つのニュースを深掘りして掲載している点は、テレビのニュースで報じられるような浅く広い情報とは一線を画しているような気がする。
これまであまり興味のなかった分野にも目を通す機会が増え、偶然目を通した記事が将来何かしらの役に立てばいいなという軽い気持ちで読んでいる。
ある日友人からLINEで「とうとうやりました!」というメッセージが突然送られてきた。
ピンとこなかった私は、「えっ、何を?」と返した。
「忘れたとは言わさないよ、プレゼントをもらいに参上します!」という返信を見て、思い出した。
数年前、その友人とご飯を食べながら近況報告をしていると、お互い国家試験の資格取得を目指し勉強していることが分かった。
友人は合格率が約20%のIT関連の資格取得を目指していた。
切磋琢磨しながらお互い頑張ろうという話のなかで、合格した際にはそのときに欲しいものをお互いプレゼントするという話になっていた。
そのことを思い出し、「例の試験、合格したの?」と送ると、
「思い出してくれた?合格しました!」と返ってきた。
「おめでとう。約束してたから今度お祝いを兼ねて買いに行こうか。ちなみに何が欲しい?」
「少し考えさせて。また連絡します。」
このときは友人が合格したことを素直に喜んでいた。
のちに大変なことになるとも知らずに・・・
その後、連絡がきて候補が色々あるからとりあえず梅田のヨドバシカメラに集合することになった。
「何を買うつもりなのだろう」
フロアマップを見ながら考えていると、友人が歩いてくるのが見えた。
向こうもこちらに気づいたらしく、ニコニコいや、ニヤニヤしながらこちらに歩いてきた。
「どんだけ笑顔やねん!」
「好きなものをプレゼントしてもらえると思ったら楽しくて楽しくて。」
「先に言っとくけど、そんなに高いものはやめてよ。」
「大丈夫。ほどほどのものにするから。」
一抹の不安を感じながら、歩き始めた。
一つ目の候補はコーヒーメーカーだった。
「あれ、コーヒー好きだったっけ?」
「毎日飲んでるからこそ少しでも本格的なものを飲みたいって最近思い始めてさ。」
「やっぱり香りとか全然違うのかな?」
「よう、分からんわ。」
「なんや、それ!」
「値段も安いもので3,000円くらいから高いもので50,000円まであるな。」
「この3,000円のでも十分じゃない。しっかりしてそうだけど。」
「普段、自分が買い物をするならいいかもしれないけど、今日は特別だからね。」
「一応候補には入れといてよ。予算いくらぐらいだと思って買い物してるのかが気になって仕方ないんだけど。」
「予算は決めてません!」
「分かりました。違う!違う!お財布はこっちが握ってるんだから。」
「まあ、とりあえず一通り見てから決めよう。」
考えがあるのか、ないのか、次の場所に移動することにした。
二つ目の候補はコードレススチームアイロンだった。
「実用的なところいくね。」
「さっとシワを伸ばせるし、除菌・消臭・花粉対策にも効果があるらしいよ。」
「だいたい5,000円から10,000円くらいのものが多いかな。」
「予算的には全然問題ないね。」
「まあ、これくらいならいいけど。」
「そしたら、最後に本命のところに行こうか。」
モヤモヤした気持ちのまま言われるがままついていくと、そこには高級な腕時計が並んでいた。
恐る恐る値札を見ると安いものでウン十万、高いものでウン百万という世界だった。
「いいねー。夢がある。」
友人は何を考えているのか、じーっと腕時計を見ている。
しばらくすると、パッとこちらを向き、小声で「本命」と言った。
それに対し、こちらも小声で「ダメ」と返した。
それを聞いて、友人が「1個だけお願いがあるんだけど」と言ってきた。
「何?」
「この腕時計、買いますか?買いませんか?って聞いて。」
某有名番組のやりとりだ。
買いません、って言ってもらって早く次に行こう。
「この腕時計、買いますか?買いませんか?」
「買いまーーーーーーーーーーす。ありがとうございます!」
「違う、違う。買いませんの流れ!」
「買うならどうぞご自由に。」
「ごめん、ごめん。こっちにしよう。」
そういって見始めたのは国内ブランド、シチズンの時計だった。
どうやら腕時計を買うのは本気らしい。
30,000円から50,000円のものをしきりに見ている。
「だいぶ安くなったな。ん、安いのか?自分で買うならまだしも、プレゼントだよな。」
そう自分に言い聞かせた。
友人が店員さんと何やら話をしている間に、私はとあることを思い出した。
「そういえば、雑誌読み放題アプリの中に腕時計の特集があったような。」
見てみると、国内ブランド別で様々な価格帯のものが紹介されていた。
その中に一つ気になる時計があった。
「決まったよ。これがいいかな。」
友人が一つの時計を指さしながら言った。
「決まってはいないけどね。」
「これかっこよくない?ビジネスでもプライベートでも使えそう。」
「デザインは俺も好きかな。」
値札を見ると、やっぱり少し抵抗がある金額だった。
「そこそこするな・・・」
遠回しに気持ちを伝えると、友人と話していた店員に
「一緒に時計をお探しですか?」と言われた。
「この人にプレゼントする時計を探してまして。」
「好きなものを買っていいよ、って言ってくれる心優しい友人なんですよ。」
「言ってないですよ!普段そんなこと絶対言わないやつなんですけどね。こういう時に限って口が上手いので困りますね。」
店員さんが苦笑いを浮かべた。
「でも、この時計はビジネスマンの人から結構人気があるんですよね?」
「そうですね。同じブランドの中でも価格はお求めやすいほうかと思うので、いくつか時計を持っていらっしゃる方がオールマイティーに使える時計として買われるケースが多いです。」
「もうバッチリやん。オールマイティーって改めて聞くといい響きじゃない?」
「その感覚よく分からないけど、雑誌に載ってるこの時計なんかどう?」
そう言って、スマートフォンの画面を拡大して友人に見てもらった。
「今見てるこの時計とデザインは似てるね。しかも同じシチズン。」
「そうそう。価格はこっちのほうが10,000円くらい安いからこれでもいいんじゃない?」
「実際に見てみたいね。すいません、この時計って今置いてますか?」
「ちょっと確認しますね。えーーーっと、今ここにはないようなので、在庫を見てきます。」
そう言って、足早に倉庫へ向かった。
「雑誌を見るほど時計に興味あったっけ?」
「いや、全然ない。暇つぶしに見てたことを思い出してさ。でも、色々見てたらちゃんとした時計の1つや2つ持っといた方がいいかもね。」
「絶対持っといた方がいいよ。今日一緒に買っちゃう?」
「今日は買いません!選ぶので精一杯。」
「こういうのは勢いで行かなきゃ。ちょっとこっち来て。」
最初に見ていたウン十万の時計の前で立ち止まった。
「この時計買いますか?買いませんか?」
「買いまーーーーーーーーーーす!冗談、冗談。正しくは買えませんだけど。」
そんな会話をしていると店員が戻ってきた。
「先程おっしゃってた商品がこちらになります。」
確かにデザインは同じだったが、雑誌で見た印象より実物は良く見えなかった。
だが、友人は「これはこれでかっこいいね。」と、良さげな反応だった。
自分自身のためにも話を合わせ、何とかこちらを買ってもらおうとしたが、それを遮るように店員が、「機能面でいうと先程見ていただいた時計の方が充実してますよ。」と言った。
それを聞いた友人は我に返り、先程見た時計をもう一度見返した。
「やっぱりこっちの方が良いかな?」
明らかに心が揺れ動いていた。
「誰が買うんだったっけ?」
「んーーーーー。」
まるで聞こえていないかのように無視だ。
「よし、決めた!」
「勝手に決めんといてよ。相談は?」
「こっちにします!」
そう言って最終的に決めたのは、雑誌で見た時計だった。
良心が残っていた友人の決断にほっとしたが、一つ気がかりなことがあった。
こっちの時計を選んだ決め手は何なのだろう?
「なんだかんだ考えてくれてありがとう。」
さぐりを入れてみた。
「デザインがこっちの方が良かったからね。金額が安いからっていうわけではないから!」
恥ずかしそうな表情が全てを物語っていた。
支払いの時にプレゼントにしてはいい買い物をしたと思ったが、隙間時間に興味本位で見ていたものが実生活に役立つとは。
「その他に見れる雑誌で、役に立ちそうなものって何があったかな?」
家電特集が脳裏に浮かんだ。
今度読んでみよう、そう思った。
読み放題アプリって存在は知ってたけど「どーせお高いんでしょ?」と決め付けて、今までまともに調べてみたことなかったなぁ。しかし最近の雑誌ってほんっとーにお高い、、、。捨てるときも重たくて大変ですしね!近頃はもっぱら付録目当てで買うこともしばしばな私です(^_^;) (←雑誌代と思うと高いけど豪華な付録を買うと思えば安く感じるのはなぜ??w)
スマホで大量の雑誌を持ち運べると思ったら手軽だし最高の暇つぶしになりそう。その反面、眼精疲労も心配なお年頃ですがw
あ、そうそう!つい読み放題アプリに食いついてしまいましたが、男同士でもプレゼントとかするんだ!という驚きも忘れることなかれ。きっとB.I氏が贈られる側になった時にはありとあらゆる雑誌を網羅し綿密に調べ上げた上で自らの要望を突き付けることでしょうww
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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コメント
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IT関連の資格取得。。。はて?(うっ頭が
気前が良いですねー
せいぜい呑み代おごるくらいですよ
腕時計のプレゼントとは
なかなかおしゃれというか
お父さん的ポジションというかw
いつも身につけるものですし
良い思い出の品になりますね