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20199/2

出会い、そして成長

2019年9月2日  B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

とある休日、私は建物の前で心を落ち着かせていた。

これまで自分自身が積み重ねてきたことを発揮するときがようやく来た。

道場破りでもするかのような根拠のない自信が背中を押し、建物に足を踏み入れた。

静寂な空気に包まれる中、「パチン、パチン」という音が響き渡る。

将棋教室独特の雰囲気がそこにはあった。

私が将棋を始めた頃は年配のおじさんしかやっていないイメージだったが、最近は幅広い年代の人が興味を持ち始めていることもあり、教室内を見渡すと盤を挟んで若い男性同士や大人と子供が対局している見慣れない光景が広がっていた。

この将棋教室には初めてきたこともあり、まずは受付で説明を聞くことにした。

すると、幸運なことに今から約一時間後、トーナメント形式の大会が開かれるようで迷わず参加することにした。

 

 

それまでは自由に練習対局をしてもいいということだったので、腕試しもかねて手の空いている人と対局することにした。

最初は不安だったが大会までに行った二局とも自分でもびっくりするくらいの完勝だった。

AIを搭載したコンピュータと対局を重ねるうちに様々な状況でそこそこの一手が指せるようになっているのかもしれない。

これはもしかしたら本当に道場破りのようなことをしてしまうかもしれない。

自分自身へのそんな淡い期待の中、大会が始まった。

一回戦の相手はかわいらしい男の子が相手だった。

「こんにちは。小学生?」

「六年生です。」

子供相手に本気を出すのもどうかと思い、

「ハンデあげようか?」と聞くと、食い気味に

「いらないです!」と言ってきた。

「ごめん、ごめん、そしたら始めよっか。」

考えた末、最初の方は少し緩い手を指して相手に主導権を握らせ、最後に競り勝つような展開に持って行くことにした。

「お願いします。」対局が始まった。

 

 

「パチン!」

慣れた手つきで力強く駒を指す姿に少々呆気にとられた。

将棋盤を見る目も鋭い。

相手のペースに乗ってはいけないと当初の作戦通り緩い手をしばらく指し続けた。

その状況がしばらく続き、ふと冷静になると違和感を感じた。

「あれ、大差で負けてる・・・」

自分的にはそこまで緩い手を指していたつもりはなかったが、その隙をつかれて取り返しのつかないことになってしまっていた。

終盤に盛り返したが、時すでに遅くあと一歩のところで負けてしまった。

もしかしたら普通に勝負しても接戦だったかもしれない、そう思った。

「僕、強いね。ここにはよく来るの?」

「ほとんど毎週来てるよ。それよりお兄ちゃん最初の方手抜いてたでしょ。」

「え・・・」

「さっきお兄ちゃんが対局してるのを後ろで見てて、最近のプロの対局でよく使われる戦法を取り入れてるから、強い人がいると思って楽しみにしてたのにさっきと全然違う手を指すから手を抜いてるのかなって。」

「ごめん、ごめん。でも負けるつもりはなかったよ。また今度正々堂々と勝負しよう。」

「約束だよ。」

結局その大会でその子は準優勝だった。

大会中の他の対局を見てもその子の実力は本物だった。

「おめでとう。決勝は惜しかったね。」

「中盤からよく分からない展開になって時間がない中でいい手が見つからなかったのが敗因かな。」

「でも準優勝したことがすごいけどね。」

「ねえ、お兄ちゃん今度いつ来るの?」

「ちょっと分からない。」

「えー、そしたらインターネットのオンライン対戦ってしてる?」

「してるよ。」

話を聞くとどうやらお互いに有名なオンライン対戦のできるサイトに登録をしていた。

登録名をお互いに伝え、オンライン対戦で正々堂々勝負することを楽しみに将棋教室を後にした。

翌週の土曜日にサイトを見てみると例の登録名が目に留まった。

 

 

待ちに待った決戦の時が訪れた。

実はこの時のためにとある準備をしていた。

将棋教室であの子の対局を何度か見たが、全て同じ戦術を使っていた。

勝ちたい一戦ほど自分自身の得意な戦い方で挑んでくるというのは高い確率で分かっていたことなので、これを使わない手はない。

相手の指してくるであろう手に対してその状況下の最善の一手を密かに考えていた。

対局の申込みをしたところ、すぐにOKの返事が返ってきた。

対局開始早々、この時のために考えていた作戦が見事にはまり、優勢のまま熾烈な中盤戦へと入った。

相手も劣勢を意識してか、最後には怒涛の攻めを繰り出してきたが、そこを上手くかわして勝つことが出来た。

なんとか大人の意地を見せることが出来たというほっとした気持ちだったが、この時のための入念な準備といい、少しむきになりすぎたかなという気持ちもどこか感じずにはいられなかった。

翌週の土曜日、サイトを確認するとまたもやあの子の名前があった。

第二ラウンドのゴングが鳴った。

もしかしたら戦法を変えてくるのではという一抹の不安はあったが、ふたを開けてみると同じ戦術で勝負を挑んできた。

前回の対局以降さらに研究を深めた私は思い通りの展開についつい笑みがこぼれ、個人的には完勝といえる内容だった。

その直後、相手から再戦の要望があった。

「よほど悔しかったのかな。」

ここで身を引くのもどうかと思い、どうせなら相手が納得するまで付き合ってあげることにした。

ただ、手を抜くことだけは絶対にしてはいけない、あの時の出来事がそう自分に言い聞かせていた。

第三ラウンドが始まった。

開始早々、相手がこれまでの戦法とは180度違う一手を繰り出してきた。

そろそろ手を変えてくるのではという考えのもと、想定の範囲内だった。

事前に対策は練っていないが、相手もおそらくは普段慣れていない戦法なので力戦系の展開になれば経験の差でこちらが有利になると考えていた。

序盤、相手の予期せぬ展開での仕掛けにうまく対応できず、リードを奪われた。

中盤、何とか巻き返そうと自分なりの最善の一手を指すが、形勢は動かないばかりかリードを広げられた。

終盤、成すすべもなく完敗だった。

 

 

対局が終わった途端、全身の力が一気に抜け、悲壮感に包まれた。

「強すぎる。これまで逆に手を抜かれていた?」

これまでの出来事が走馬灯の用に蘇ってきた。

真実は一体何なのか。

将棋教室であの子に確かめざる負えない状況になっていた。

前回と同じ曜日、時間帯に行くと、あの子の対局姿が目に飛び込んできた。

対局が終わるまで休憩スペースで携帯を見ていると、

「こんにちは!」と声をかけられた。

顔を上げると、当の本人が笑顔でこちらを向いていた。

「こんにちは。この前はオンライン対戦ありがとう。実はその件で確認したいことがあるんだけど、いいかな?」

相手の表情が一瞬曇ったような気がした。

「この前のオンライン対戦のとき、これまで見たことがない戦法で完敗したけどああいう指し方は普段からしてるの?」

「実は・・・あれ僕じゃないんです。」

「え・・・」

「一局目と二局目は僕が本気で戦って負けたよ。でもその時お父さんが横で一緒にいたんだけど、僕が負けて悔しがるのを見て俺が借りを返してやるって言って三局目はお父さんが指したんだ。」

「そうだったんだ。」

「それにしてもお父さん強いね。完敗だったよ。」

「だってお父さんは僕の将棋の先生だもん。昔、学校の将棋部で全国大会に出たこともあるんだって。」

「そりゃ強いはずだわ。近くにそんな先生がいて羨ましいよ。」

「いいでしょ。ねえ、それより一局指そうよ。この前のリベンジ。」

「また勝っちゃうよ。」冗談交じりに言うと、

「あー、お兄ちゃんバカにしてる。」

「バカにはしてないよ。どれだけ強くなってるか楽しみだわ。」

この日を境に彼はどんどん実力をつけていった。

あわや負けそうな対局もあったが、なんとか勝ち続けることが出来ている。

目標にされることは嬉しくもあり、一方でそれに見合う自分を作り上げていく大変さを同時に感じていた。

彼の成長を考えると、抜かれるのも時間の問題だった。

自分自身の為ではなく彼のために将棋を極めていこうという気持ちが、自分自身の背中を後押ししていた。


編集長

B.I氏って、、、良いパパになりそう~。子供の扱いも上手そうだし、子供の夏休みの自由研究を手伝っている姿が浮かんできましたww 今は小さい子でもインターネット環境がとても身近で、大人よりもすんなり使いこなしちゃうのでビックリしますよね。親世代からしたらそういう環境にちょっと抵抗ありますが、時代の流れを考えたら仕方が無いことなのかーって思います。高校生になった甥からは、最近ではオンラインゲームの中でしか会話してないとかいう衝撃の事実を聞いたり。。ヲタク過ぎww
B.I氏と少年には、これからも世代を超えた友情を育みながら、盤上でも切磋琢磨(時々はパパさんともw)していって欲しいですね(^v^)ほほえましぃ~♪

投稿者プロフィール

B・I
B・I

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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。レベスト男性社員で一番の若手です!数々の資格保持者。

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    • @烏賊
    • 2019年 9月 02日

    将棋が出来ない私ですが
    感情移入出来たのはB・Iさんの文才と文章力でしょうね。
    まるでエッセイのようで、お人柄が出ているような、内容も私には心地よく入ってきました。

    リアルであれネットであれ、話をできる人がいることは悪くはないですよね。
    パタッと現れなくなると、とても淋しいものですが。。
    私からアクションおこしてもいいのですが、来てくれることを待ちつつ、願って。
    あまり意味はないですけど、新しい月ですし頑張りましょうかね。

    • @uchizono
    • 2019年 9月 03日

    おもしろかったよ~

    心惹きつけられるブログ ありがとうございます。

    BIくんには、特別待遇?で毎月15日に原稿を書いてもらっているのですが、

    (他のメンバーは2.5ヶ月に一回のペースかな・・・)

    見事期待の応えての、読み応えのあるレブログを提供してくれています。

    これからも楽しみにしていますね!

    あっ! 1日も楽しみです・・・前編集長 よろしくね(笑)

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