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配偶者控除と配偶者特別控除の所得税改正
2017年1月12日 tanitaka8
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皆さん、おはようございます。
新年を迎えて、気持ちも新たにお仕事に励んでおられることでしょう。
私は休みボケからまだ抜け出せず、低空飛行状態です。
さて、前回(2016年10月28日)の私のブログは「103万円と130万円の壁」というタイトルで、所得税の計算において共働き世帯における妻のパート収入に対する夫の配偶者控除について述べました。妻のパート収入が103万円超えると夫の配偶者控除額が段階的に減っていくので、夫の税負担が増えます。そこで妻が年間収入を103万円以下に抑えるように時間調整して働くという現象が生じ、女性の社会進出や労働力確保を阻害しているという問題点を指摘する内容でした。
この問題は社会的に注目されていたこともあり、配偶者控除の適用範囲を拡げる所得税改正が予定されています。
具体的には2016年12月8日に公表された税制改正大綱(翌年度以降の税制改正の政府の原案)に基づき、2017年の通常国会に法案が提出され成立する予定です。
そこでは、当初検討されていた配偶者控除の廃止・夫婦控除の創設はなくなりましたが、配偶者控除103万円の壁は150万円の壁になり、配偶者特別控除の範囲も拡大されています。但し、夫の年収制限も設けることにより、高所得者への適用を制限しています。
現行の配偶者控除と配偶者特別控除では、妻のパート収入が105万円未満の場合は、夫の所得税計算において満額の38万円の所得控除が適用され、妻のパート収入が105万円を超えると夫の所得控除額が徐々に減額し、妻のパート収入が141万円以上になると夫の控除額が0円になります。
今回の改正案ではその適用範囲を拡大することとされました。そのイメージをグラフにしたものが次です。
画像出典:日本経済新聞
グラフでは、わかりにくいかもしれないので、具体的に数値を表にしたのが次です。
改正前では、妻のパート収入が1,049,999円以下の場合は夫の控除額は満額の380,000円です。妻のパート収入が1,050,000円~1.099.999円の場合の夫の控除額は360,000円で、それ以降妻のパート収入が増えると夫の控除額が減少していき、妻のパート収入が1,410,000円以上になると夫の控除額は0円になります。
それに対して改正案では、妻のパート収入が1,500,000円以下の場合に夫の控除額は満額の380,000円となります。妻のパート収入が、1,500,001円~1,550,000円の場合の夫の収入額は360,000円で、それ以降は改正前と同様に妻のパート収入が増えると夫の控除額が減少していき、妻のパート収入が2,014,288円以上になると夫の控除額は0円になります。
ただし、簡易に説明するため割愛していますが、夫の給与収入が1,120万円を超える場合には控除額は減額されます。
妻のパート収入 | 夫の控除額 (改正前) |
夫の控除額 (改正後) |
1,030,000円以下 | 380,000円 | 380,000円 |
1,030,001円~1,049,999円以下 | 380,000円 | |
1,050,000円~1,099,999円以下 | 360,000円 | |
1,100,000円~1,149,999円以下 | 310,000円 | |
1,150,000円~1,199,999円以下 | 260,000円 | |
1,200,000円~1,249,999円以下 | 210,000円 | |
1,250,000円~1,299,999円以下 | 160,000円 | |
1,300,000円~1,349,999円以下 | 110,000円 | |
1,350,000円~1,399,999円以下 | 60,000円 | |
1,400,000円~1,409,999円以下 | 30,000円 | |
1,410,000円~1,500,000円以下 | 0円(適用無) | |
1,500,001円~1,550,000円以下 | 360,000円 | |
1,550,001円~1,600,000円以下 | 310,000円 | |
1,600,001円~1,666,668円以下 | 260,000円 | |
1,666,669円~1,750,000円以下 | 210,000円 | |
1,750,001円~1,828,572円以下 | 160,000円 | |
1,828,573円~1,900,000円以下 | 110,000円 | |
1,900,001円~1,971,429円以下 | 60,000円 | |
1,971,430円~2,014,287円以下 | 30,000円 |
たしかにこの改正案が実施されると103万円の壁が150万円の壁となり、改正前と比べると主婦の労働量は増加すると考えられます。ただし実際には社会保険料のことを考えると130万円の壁のことも考慮して働き方を考えるはずで、130万円の壁がより意識されるようになるでしょう。
この改正は来年2018年(平成30年)から適用される予定です。今年2017年からいきなり変わるわけではありませんが、改正以降の働き方について考えておくことは必要でしょう。
103万から130万ってことは27万の差。年間27万ってことは月に換算すると2万円ちょっと。月収入が2万円増えるってのは大きいなー。
でもまぁ増えたとしても、嫁さんの化粧代やらオシャレ代、オヤツ代に消えていくんですけどねw
投稿者プロフィール
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レベスト経理の味方「tanitaka8」。編集長の大学の先輩であり、ポッキーを顎で使う達人。車好き。
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コメント
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「1億総活躍社会」ですからね。
「配偶者控除」を無くすという話も出ていましたが
どこまで本気だったのかは難しいところでしたね。
国が貧乏なのも困りものですが。。。
控除枠が広がることは良いことかなと思いますので
どんどん進めて欲しいですね。
できれば私のような単身の男にも
なんらかの控除を賜りたく御願い上げ奉りますm()m
髙橋み様>コメを有難う御座います。
おっしゃる通り「配偶者控除」を無くしてあらたに「夫婦控除など」を設けて抜本的に改正する案もあったのですが、時期尚早として見送られました。。。
今回の改正は適用範囲を拡大しただけの、小手先の改正と言わざるを得ないでしょう(-“-)
単身者は所得控除が少ないので、せっせと「ふるさと納税」に励みささやかに抵抗するしかないですね。。。