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エピソード3 「終着点」
2022年 3月 1日 B・I
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戸倉太一・・・コンビニでバイトをしながら将来を模索する青年
影山圭一・・・戸倉にアパートを貸す心優しいコンビニのオーナー
杉本康太・・・現在はバーで働いているが、
来年度公務員試験を受ける青年
エピソード3 「終着点」
杉本と影山がカフェで話をしている光景を見て、
戸倉は忘れ物のペンを握りしめたまま家へと帰った。
二人はどういう関係なのだろう。
戸倉は湯船につかりながらその日の出来事を
思い返すのが日課となっていたが、
今日はそのことで頭がいっぱいだった。
考えられるとすれば、
杉本がコンビニを利用した際に
何かしら接点があるということだが、
客とオーナーという関係を考えれば、
わざわざカフェで待ち合わせをして
話をするには違和感がある。
自分の知っている人同士が実は
裏で繋がっていたことに何とも言えない
モヤモヤを感じた。
翌日、戸倉は自分の将来について
ある可能性を探っていた。
きっかけは杉本に公務員試験の問題について
解き方を教えたことだった。
人に物事を教えるというのはその能力があれば
誰でも出来るものだと思っていたが、
分かりやすく丁寧に教えることには
一定の技量が必要なんだと気づいた。
自分は人に何かを教えるのは苦ではないし、
工夫して教えたことで相手がそのことを
理解してくれれば達成感も生まれる。
そう考えたときに塾講師が頭に思い浮かんだ。
学生時代は学業に専念して国公立大学を卒業しているし、
何より人のために頑張れる仕事というのが
自分にマッチしている気がした。
考えは次第に大きくなり、
最終的には自分で塾を経営出来たら
面白いかもしれないとも思った。
社会人になってから将来のビジョンを考えずに
日々を過ごしていた私にとって、
味わったことのないワクワクした感覚だった。
塾講師の応募について調べてみると、
多くは非常勤講師の応募であり、
専任講師は数が限られていることを知った。
塾によって少なからず個性があるので、
情報を集めるために教育系の転職活動を
サポートしているところでまずは話を聞くことにした。
塾の専任講師として就職するためには、
塾ごとに設けられた入塾試験をまずは突破する必要があり、
科目選択では学生時代得意だった
高校の数学を選んだ。今となっては懐かしいが、
数学では全国模試でかなり上位の成績を取っていたので、
友達から尊敬の目を向けられていたこともあった。
高校数学の範囲を網羅したテキストをもらい、
準備が出来次第入塾試験に応募することにした。
その後、バイト先のコンビニや本屋に併設された
カフェで杉本の姿を見かけなくなった。
家で公務員試験の勉強してるのかな。
自分も新たな目標を見つけ、
一緒に頑張ろうと思っていたタイミングだったので、
少し寂しい気持ちになった。
このテキストを読み込むという
一つの目標が定まったことにより、
これまでのダラダラした生活がウソのように一変した。
当初想定していた日にちよりも
かなり早くテキストを読み終えて準備が整ったので、
第一希望である塾の入塾試験を申し込んだ。
その入塾試験の前日、
気分転換も兼ねていつものカフェで最後の総まとめをしていると、
「やっぱりここにいたんですね」
と、声をかけられた。
振り返ると、
そこにはがらりと雰囲気の変わった
杉本が笑顔で立っていた。
「髪黒く染めたんだ。全然印象変わるね。」
「真面目な人生を歩んできた人に見えますか?」
「もはや、そういう人にしか見えないよ。
でも、個性が無くなったから
今思えば前は前で良かったのかもね。」
「結構思い切ってイメチェンしたのに、
そう言われたら少しショックだな。」
「冗談だよ。でも、これからのことを考えれば当然だよね。」
久しぶりの会話にお互い自然と笑みがこぼれた。
「最近コンビニやここで姿を見ないから、
もう会えないんじゃないかと思ったよ。」
「実は働きながら勉強するのがきつかったので、
バーのオーナーに頼んで試験までの
期間お休みをもらうことにしたんです。
試験に受かれば仕事を辞めて新しい就職先を探して、
もしダメだったらそのまま仕事を続けさせてもらえないかって
自分勝手なことを言ったら僕の将来を応援しているって
言ってくれたんです。」
「いい人だね。」
「それで髪も黒く染めて、
通信講座を受けている学校に足を運んで自習したり、
質問するようにしたので、
ここに来ることがなくなったんです。」
「そうだったんだ。一歩ずつ前に進んでるね。
あ、これ今度会ったら返そうと思ってたんだけど。」
そう言って、戸倉は以前ここで杉本が忘れたペンを渡した。
「ここに忘れてたんですね。
しばらく探しても見つからなかったので、
あきらめてました。」
戸倉は例の件を聞くべきか考えていた。
もしかしたら今後会うことはないのかもしれない。
であるならどんな返事であれ、
モヤモヤを解消しようと心に決めた。
「一つ聞きたいことがあるんだけど。」
「何ですか?」
「この前君がここを出た後、
すぐにペンを忘れてることに気付いて、
後を追ったんだ。そしたら
ここを真っすぐ行ったところのカフェに入る姿を
見かけて中を覗いたら、
ある人とじっくり話をしていたよね。」
「あ、オーナーのことですか?」
「そう、僕が働いているコンビニのオーナーだけど、
どういう関係なのかなと思って。」
「影山さんは僕が働いていたバーのオーナーです。」
「え、バーのオーナー?」
「そうです。影山さんはバーのオーナーでもあり
コンビニのオーナーでもあるんです。」
「そうだったんだ。影山さんって色々してる人なんだね。
じゃあ、その時に話したことって・・・」
「まさにその時公務員試験を受けること、
試験まで休みをもらいたいというお話をしました。」
まさかあの時そんな大事な会話をしていたとは。
一人の青年が新たな人生を踏み出す瞬間を
私は目の当たりにしていた。
その話を聞いて、
私は塾の講師になろうと決心したことを伝えるべきか悩んだが、
ここで伝えてしまうと彼とはもう会えないような気がした。
私は少なからず彼の考え方や行動に影響を受けている。
お互いが目標を達成することが終着点であり、
それまではどこかで自分のことを気にかけて欲しいと思った。
久しぶりの再会にしてはいつもと変わらない別れ方で、
また次にいつ会えるか分からないが、
それは運命に任せようと思った。
まずは自分が出来ることとして
明日の入塾試験に集中することにした。
入塾試験当日、
緊張しているのか久しぶりに朝から落ち着かない気持ちの中
指定された時間に塾へと向かった。
中に入ると、
自分が学生時代に通っていた
塾とはまるで雰囲気が違うことに驚いた。
市街地の中にあって
外観から規模の大きな塾だとは思っていたが、
清潔感があり、施設として充実している印象を受けた。
受付の女性に入塾試験を受けに来たことを伝えると、
会議室へと案内された。
その道中、講義をする教室を見たが、
白を基調としたデザインで
大学のゼミで利用していた部屋が脳裏をよぎった。
会議室に移るとさっそく問題が手渡され、
試験が始まった。
問題量はかなり多く、
一つ一つの問題は基本的な計算問題から
受験レベルの問題まで多岐にわたったが、
手を止めることなく最後まで回答することが出来た。
試験後は面談が行われ、
志望動機など自分の今の思いを率直に伝えた。
数日後、塾から採用通知が届いた。
講師としてクラスを担当する前に
数カ月にわたる研修期間があるが、
その開始時期を決めるためにまずは
バイトを辞めなければならない。
戸倉は影山に連絡を入れた。
「戸倉です。実はお話があるのですが・・・」
「大事な話そうだね。
実はこちらも君と話をしたいと思っていたんだ。
良かったら明日ご飯でもどうかね。」
翌日、待ち合わせのお店に入ると、
影山の姿があった。
「特に嫌いな食べ物は無かったよね。
私が普段頼んでるコース料理でもいいかな?」
「僕は何でも大丈夫です。」
影山はメニューを開くことなく注文を通した。
「そしたらまずは話を聞こうか。」
「新しい就職先が決まりました。」
「そうか、それはおめでとう。
君ならきっといい塾の講師になると思うよ。」
「そうなれるようにこれから頑張ります。
えっ、どうして僕が塾の講師になることを知ってるんですか?」
影山はたった今、目の前に運ばれてきた前菜を見つめていた。
レベストジャー・レッド
B・Iさん
しかし、このオーナー凄いな!
遠山の金さんみたいに何でも知ってるんやねヘ(゚∀゚ヘ)
もしかしてこの人が世の中を回している”神”かも・・・。
このオーナーさんが営んでいるお店にバイト
したかったな~~(´ε` )
もしレッドがバイトしていたら(^_^;)
ん~~~~~っ・・・・・・・(^_^;)
どちらにしてもレッドは
レベストジャーに入隊してたかな∠( ゚д゚)/
一心いいちい∠( ゚д゚)/
こんなレッドみたいなヒーローバカは
このオーナーさんとは出会わないかもね∠( ゚д゚)/
それでは、レベストジャー・レッド。。。∠( ゚д゚)/
町内のパトロール行ってきま~~~す(*´艸`*)
編集戦隊レベストジャー!! !!!
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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コメント
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え?なんで知ってるんですか?!
ま、まさか。
塾のオーナーも影山さん?!
(*´艸`*)