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図書館ゲーム
2019年8月1日 B.I
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
あなたにとって心落ち着く場所はどこですか?
そう聞かれたら何と答えるだろう。
自宅、喫茶店、自然に囲まれた場所・・・
いや、真っ先に思い当たる場所がある。
それは図書館だ。
最近でこそ行かなくなったが、興味のあるジャンルの本を読み漁ったり、集中して勉強したい時によく行っていた。
個室のような一人の空間ではなく、図書館独特のある程度人がいる中での静寂の雰囲気が集中力を高めてくれる。
では、僕にとって心落ち着く場所は図書館です、と断言できるかというと実はある違ったことが頭をよぎる。
それは何か、これから経緯をお話しするとしよう。
大学四年生の夏、私たちはあることに追われていた。
「おはよう、どう順調に進んでる?」
「いや、全然。どういう展開で文章を構成していくかが難しいわ。」
「完全に知識不足が露呈してるのは分かってるけど、ネットで情報を集めるのにも限界があるもんね。」
「みんな悩んでいて少し安心したわ。俺だけ悩んでるんじゃないかって不安だったから。」
ここはゼミの研究室。
各自が卒業論文の作成に向けて準備を進めており、定期的に集まってはお互いの経過報告をしている。
共通の悩みと言えば、作成するにあたっての知識不足、情報量の少なさ、文章の書き方、つまりは全てにおいて悩んでいるという状況だ。
これを打破するためにどうしたらよいか話し合っていたところ、
「図書館とかってどうなんだろう。」友人Aが独り言を言った。
「調べてる内容の本がピンポイントであるかは分からないけど、あれだけの本の数があればそれに関連する本は少なからずありそうだね。一回行ってみようか。」
翌日、予定の空いていた友人2人と図書館を訪れた。
図書館に入るや否やクーラーの効いた涼しい空気と静寂な雰囲気が同時に感じられた。
さっそくお目当ての本があるのかどうか向かってみると、棚一面に関連する本が並んでいた。
その光景を見てお互い笑みがこぼれた。
お宝を発見した気持ちになり、しばらくの間ここが住処となることが決定した。
図書館内には最新の新聞を読めるコーナーや自由にパソコンを使えるコーナーもあるので何か調べ物をするにはこれ以上ない環境だった。
ここに通い始めてから卒業論文を作成するスピードが明らかに早くなり、更にはいろんな本を読んでいると書き方の構成についてもポイントが分かってくるので、内容についても質の高いものが出来ているような感覚があった。
ある日、いつものように図書館に行った帰りに最寄り駅にある本屋にふらっと寄ってみると、ある一冊の本が目に留まった。
著者 石持浅海の「ブック・ジャングル」
その帯を見てみると、「閉鎖された市立図書館が戦場と化した。凶暴ヘリから、獰猛な殺意から逃げろ。」と書いてあった。
買わずにはいられなかった。
家に帰ってさっそく読んでみると、現実離れしたストーリーではあるが、読み進めていく中で図書館という閉鎖された空間ならではの緊迫感、そして何より今通っている図書館のことを考えずにはいられなかった。
詳細な本のストーリーについては説明を差し控えるが、ざっくりいうと、ある目的で深夜の図書館に侵入した男女5人が様々な武器を装着した複数のラジコンヘリに突然命を狙われるというストーリーだ。
是非とも一緒に図書館に通っている友人にも読んでもらいたいと思い本を渡すと、順番に回し読みをしてくれることとなった。
その本を読んだ人はみんなこの図書館で同じような状況になったらどうするだろうと思ったに違いない。
教授への卒業論文の中間報告発表を目前に控えたある日、お互いの資料の確認や発表する内容の確認をしようと友人三人とお昼を食べた後、図書館へ向かった。
全員が本を読んでいたこともあり、道中あの状況で自分ならこうする、ああすると意外と話が盛り上がった。
図書館に着きいつもの場所に座るや否や、「この場所でラジコンヘリが襲ってきたらどう逃げる?」ふと聞いてきた。
「棚の間に逃げたら挟み撃ちされると終わりだから、テーブルが並んでいる場所で視界がある程度開けているところで何とか逃げながら反撃するかな。」
「書庫みたいな扉のある部屋の中に逃げ込むのが一番安全でしょ。」
「それは反則です。」
「反則って何?」
「勇敢さに欠ける。」
「命がけなのに勇敢さも何もないでしょ。」
「一階の窓から脱出するのがストーリー的に盛り上がるかな。」
「ここは三階だからどうやって一階まで行くかが問題だね。」
「とりあえずそこのエレベーターに乗って一階までいければすぐ近くに窓があるからそこから脱出可能だと思うけど。」
「それは反則です。」
「だから反則って何?」
「エレベーターは止まっていることとします。」
「制約が厳しすぎない?」
「これくらいの方が緊迫感あるでしょ。」
そう言われ、友人は苦笑いを浮かべながらお手洗いに行った。
こっちの階段を使ってこのルートで逃げた方がリスクが少ないかな、そんな話をしていると友人がニヤニヤしながらお手洗いから戻ってきた。
「そこに外部の非常階段に繋がっている非常口があるけど・・・」
「反則です。」
「言うと思ったわ。」
その日は卒業論文の中間報告発表の準備もそこそこに楽しい打ち合わせとなった。
その日の夜、打ち合わせでのアドバイスを基にあそこをこういう風に変えた方がいいかな、そんなことをベッドで横になりながら考えていると夢の中であのシーンが再現された。
いつものように図書館に行くとそこには奇妙な光景が広がっていた。
友人以外誰も人がいなかった。
気にすることなく資料を見ながら打ち合わせをしているといつの間にか窓の外が真っ暗になっていた。
もうそんなに時間が経ったかなと思い帰ろうとすると、モーター音が鳴り始めた。
その方向を見ると、ラジコンヘリがこちらに狙いを定めるように飛んでいた。
この時、これが夢だとは全く思わず、本で読んだことが現実に起きていると思っていた。
しばらくラジコンヘリと向かい合っていると突然こちらに向かって襲い掛かってきた。
命の危険を感じ、とっさにかわすと、昼間あれだけ「反則です」と言っていた友人が
「非常口に逃げよう。」と言った。
本来ならば「反則じゃないんかい。」と突っ込みたいところだが、そんな余裕は全くなく言われるがまま非常口に向かった。
友人がドアノブに手をかけるが閉まっている。
何度も開けようと試みるがびくともしない。
すると友人は諦め、「あっちだ」と言い走り始めた。
その方向を見るとその先にはエレベーターがあった。
今考えると、二回目の突っ込みのチャンスを神様が与えてくれたのだが、必死だった私はそれも逃してしまった。
エレベーター前に着きボタンを押すと、案の定反応がなくエレベーターは止まっていた。
振り返ると猛スピードでこちらに襲い掛かる複数のラジコンヘリが目に入った。
そして、死を覚悟したその瞬間ベットの上で目が覚めた。
夢で良かったという思いと、なんで最初にこれが夢だと気づかなかったのかという自分への情けなさを感じた。
次の日、ゼミの研究室で打ち合わせがあった。
研究室に入ると例の友人が打ち合わせの準備をしていた。
顔を見るや否や、突っ込むポイントでもないのに
「それは反則です。」と言いそうになった。
友人が私を見て「どうしたん、楽しそうな顔して。」と言ってきた。
「ごめん、ごめん。何でもない。」
いつこの突っ込みが炸裂するのか楽しみだ。
「ラブストーリーは突然に」以来2度目の夢オチ?!と思ったら、今回はちゃんと「夢の中で」って宣言してましたねw
図書館ってもう何年も行ってないなぁ~。最近とあることをきっかけに、元々好きだったエジプト神話やギリシャ神話に更に興味が湧いてきたので「死者の書」とか借りて一度じっくり読んでみたいなーとか思ってます。私『王家の紋章』世代なのでww(←1976年から連載開始され未だ未完の超大作マンガ。作者が完結させない宣言しており『ガラスの仮面』同様に作者が死ぬまで続くと予想されている。)が、遠いし暑いしと色々理由をつけてはまだ行けていません(^_^;)
ところで図書館で働くのって素敵じゃないですか??私自身、学生時代はアルバイト先も本屋さんだったし、本が好きなので、大好きなものに囲まれて仕事するなんて最高だなーなんて憧れちゃってます(^v^)♪
投稿者プロフィール
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新メンバーで業務部の「B・I」こと大島知弥。月初のブログ当番。彼が書く文章は実話に基づきながらもどこか小説風。しゃちょーから月初当番を任されるのには頷けます。資格試験の猛勉強も継続中!
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コメント
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夢オチを「反則です」とは言わないですよ。
(いじりますけど)
人の夢の中の物語って
普通は知れることがありませんから
貴重な機会です。
夢の中の物語で、ふと夢だと気がついてしまう時
ちょっと興醒めですけどありますよね。
気づいてしまう機会は歳を重ねるほどに多くなり。。。