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奈良市の「監獄ホテル」(旧奈良刑務所)🏨
2025年 11月 4日 ふ~りん
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
みなさんこんにちは。ふ~りんです。
今回は2026年春に開業予定のホテル
「星のや奈良監獄」
とそれにまつわるお話を紹介します。

明治時代、政府は西欧列強との間の不平等条約撤回を目指していましたが、
諸外国は
「きちんとした司法制度がない」
「まともな牢獄がない」
「受刑者の人権が守られていない」
という理由で応じませんでした。
そこで政府は、
国際水準に見合う近代的な刑務所を作るべく、
西洋の刑務所をいくつも視察したうえで全国五カ所
(千葉・金沢・長崎・鹿児島・奈良)
に明治五大監獄といわれる西洋建築に倣った
レンガ造りの監獄を建設しました。
旧奈良刑務所は、その中の一つで、
赤煉瓦造りの重厚で美しい外観が特徴です。
正門にはアーチ型の入り口と両脇の円塔を持ち、
まさに西洋建築の美を感じさせてくれます。


2017年3月に老朽化や耐震性の問題から閉鎖されましたが、
それまでは現役の監獄として使われていました。

閉鎖後は重要文化財に指定され。
その後、星野リゾートを運営会社として、
2026年春に「星のや奈良監獄」として
ホテル・監獄ミュージアム等の複合施設として開業予定です。
ところで、明治に建設された旧奈良監獄ですが、
戦後は少年刑務所として使われました。

奈良少年刑務所では
更生の見込みが大きいと考えられる少年犯を中心に収容し、
更生教育と職業訓練に力を入れていました。
1956年には収容者が奈良県高等学校生徒弁論大会で団体優勝。
個人賞も1,2位を獲得するなど実績は見事なもので、
閉鎖直前の2016年まで、
毎年9月に「奈良矯正展」という一般公開行事を開催し、
指導内容の紹介、受刑者の絵画や文芸等の作品紹介、
本館前の広場を中心とした物販のほか、
奥に入って施設を見学するツアーも行われていました。
話は変わりますが、
児童文学作家で寮美千子(りょうみちこ)さんという方がいます。
寮さんはこの奈良少年刑務所で詩の授業をされていました。
この方の著書に『空が青いから白を選んだのです』という一冊があります。
本の題名は「雲」という題の「一行」の詩です。
これを作ったのは少年受刑者です。
空が青いから私は白という色を選んで雲になって浮かんでいるんです
という一人称の詩です。
寮さんはいつも発表の時、
作った本人にその詩を読んでもらうのですが、
この詩を作った子はうまく読めませんでした。
薬物中毒の後遺症とお父さんに金属バットで頭を殴られたからです。
そのことで言語障害になってなかなかうまく喋れないのです。
寮さんが
「ごめん、よく聞こえなかったから、
もう少しゆっくり読んでもらえるかな」と言うと、
その子は何度か読み返した後に、
はっきりと聞こえるように
「空が青いから白を選んだのです」と言いました。
それを聞いた瞬間、まわりから大拍手が起こりました。
するとその少年が
「先生、話したいことがあるんです。話していいですか」と言いました。
寮さんが「どうぞ」と言うと、その子が話しました。
「僕のお母さんは今年で七回忌です。
お母さんは体が弱かった。
けれどお父さんはいつもお母さんを殴っていました。
僕はまだ小さかったので、
お母さんを守ってあげることができませんでした。
お母さんが病院で亡くなる前に僕にこう言いました。
『つらくなったら空を見てね。お母さんはそこにいるからね』
僕はお母さんのことを思い、
お母さんの気持ちになってこの詩を書いてみました」
寮さんは胸がいっぱいになりました。
いつも「感想は?」とみんなに聞くのですが、
この時は聞く前に手がたくさんあがりました。
そこには
「僕は、〇〇君はこの詩を書いただけで立派に親孝行したと思います」
というやさしい意見があり、
「〇〇君のお母さんはきっと雲みたいにふわふわで、
やわらかくて優しい人なんだと思います」
という感想もありました。
また勢いよく手をあげたけど、
なかなか話せずにいた子が絞り出すように、
「僕はお母さんを知りません。でもこの詩を読んで空を見上げたら、
お母さんに会えるような気がしてきました」
と言ってわぁっと泣き出してしまいました。
その泣いた子を
「今まで頑張ってきたんだね。一人で頑張ってきたんだね。
寂しかったんだね。大変だったんだね」
と、みんなが慰めてくれました。
その時、寮さんは
〝本当に最初に聞いた通りなのかな〟と思いました。
最初に聞いたのは子ども達の犯罪歴です。
強盗、殺人、婦女暴行、放火、覚せい剤、そういう罪があるということです。
〝本当にそんな罪を犯してきたのだろうか〟
と寮さんは思ったのです。
この「お母さんを知りません」と言った子は、
刑務所に入ってから自分の罪の大きさにおののいて、
何度も手首を切る自殺未遂をしていました。
刑務所では自傷行為をすると慰められるのではなく、
罰を与えられます。独房に何日も入れられるのです。
それを繰り返していましたが、「空が青いから…」の詩を聞き、
「僕はお母さんを知りません」と公に表明してから、
ピタッと自傷行為が止まりました。
そしてそれまでは
いつも下を向いて曲がっていた背中が伸びてきました。
笑顔まで見せるようになりました。
八カ月間授業がありましたが、
それが終わって半年程してから、
寮さんはまたその子と会いました。
その子は胸を張って寮さんに
「先生、僕、作業所で副班長になりました」と言いました。
いつもみんなからお荷物扱いされていた少年が副班長になったのです。
さらに
「最近、僕は休み時間にみんなの人生相談を受けています」と言うのです。
寮さんは
「このようなことが次から次に起こりました」と言われています。

刑務所のレンガの美しい壁は、
少年たちを社会から隔離するためのものでなく、
差別や虐待で傷ついた心の傷を癒すための防波堤であり、
社会復帰を目指す受刑者の学校や職業訓練の場所だったということが
よくわかる話です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

編集戦隊 レベストジャー
レベストジャー・イエロー
ふ~りんさん
歴史的な価値から言うと凄い価値があるのでしょうね
活用して経済効果が期待できるのは凄く良いですね。
ただ刑務所だったということは受刑者が収監されていたところ
寒いイメージがあるのはイエローだけでしょうか??
星野リゾートが手掛けるんですから
寒いなんてことはないですよね!
でも、その当時を体感するみたいな・・・・。
冬は、極寒で夏は、猛暑!!
ミュージアムで歴史を感じ
宿泊施設で自分を見つめなおすって感じですね
ふ~りんさんは開業したら行かれるんですか??
編集戦隊レベストジャー!! !!!
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コメント
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すっごい宿泊施設出来るんですね!
自分は元刑務所に泊まるのは
むっちゃ抵抗あるのですが
興味深い宿泊施設です
星野リゾートもチャレンジャーですね!
内装が気になります
部屋の扉や浴室など
昔の名残りなど
オープンしたら
きっとテレビで紹介されるから
拝見してみたいです
コメントありがとうございます。
私も「監獄ホテル」という名前を知ったときに「はぁ?」いったい、どういうことだろう…
と思いました。
そこでいろいろ調べてみて、今回ご紹介する話を知ったのです。
奈良市というわりと近いところに、ちょっと変わった歴史を持った建物とそれにまつわる意外なお話があったのです。
それにしても昔の建築物って本当におしゃれですね(監獄なのに(笑))